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西尾維新 『クビシメロマンチスト』 

前回「なんじゃこりゃあ!」と思ったにも関わらず、懲りずに買ってしまった。
西尾維新の「戯言シリーズ」第二弾、クビシメロマンチスト


「よう、欠陥製品」
「やあ、人間失格」


前作クビキリサイクル同様、登場人物がことごとく普通じゃありません。『デスノート』の「ジェバンニ」(※)級の御都合主義にして便利なキャラがバンバン登場したとしても驚くにはあたらない。殺人トリックが『金田一少年の事件簿』の「氷橋(すがばし)」(※)レベルでも一切問題はありません。
つまり、

野球と3角ベースでは最初からルールが違う

・・・という前提条件の違いを自覚して読むべきものとみつけたり。
とはいえ、つまらなかったかといえば決してそうではない。むしろ2冊目だからか楽しみ方がわかってきたように思います。推理モノの形態をとったラブコメ風味のヤンデレ小説・・・?

登場人物の感情と行動原理がことごとく常識を超えるため一般的な推理では解答に追いつけず、突拍子もないと自分でも思いながら消去法で犯人を考えますが結局動機の部分では常軌を逸していたり。
正直ついていけない部分もありますが、自分にとってはなかなか文章に新鮮味があって楽しめます。言語学者が読んだら激怒しそうな日本語だったりしますけど。

さてこのクビシメロマンチストですが・・・なんというか主人公の壊れっぷりが見所でしょうか。前作はただのヘタレかと思ってましたが2巻ではその異常性を遺憾なく発揮しすぎ。クレイジー。変人たちの事件に巻き込まれる当の本人もまわり以上にかなりの変人でした。
本作についてネットでチラっとググった結果、「中2病」という言葉を初めて知りました。そしてすべてはこの一言に尽きる、と確信。映画も文学もマンガも音楽もゲームもブログも「面白さ」の根本はコレだろ、と。それを知り得ただけでもこの本との出会いには充分意味がありました。

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[ 2008/09/24 13:10 ] 旧校舎 文芸部室 | TB(0) | CM(2)

後藤友香 『正義隊』 

絵というものは不思議だ。この国に蠢くマンガ家志望の老若男女が自らの画力の向上を目指し日々努力しようとも、中途半端な技巧がかえってリアリティを阻害することもしばしば。リアリティの所在が描き手の手腕に因るという認識は驕りだったのか!?そんなセンシティブな部分に問いかけてくる作品、それが後藤友香『正義隊』である。

正義隊 /後藤友香/著 [本]
「殺すよ!」
「殺せまい!!」
 (作中より)
殺せまい(正義隊)

正義のために正義をおこなう、それが正義隊。昨今見かけないほどシンプルな正義がここにあった。正義は正義、悪は悪!どちらも理由無く存在する対極の組織によって繰り広げられる抗争を目撃せよ!
作者がこの絵柄に対して意識的であるのかは不明。しかしこの力強いペンタッチからはある種の確信めいたエネルギーの充実を感じずにはおれない。つまり、

作者の目には世界がこう見えている

・・・そう考えると読み手である自分がこの絵に圧倒的な説得力を感じるのも道理というもの。読者が感じるのは「作者という生身の目を通して描かれた世界」という歪みのないリアル。
小綺麗なだけで面白くないマンガというのは「作者本人が見たいと思っている世界だけを紙に描いている」に過ぎない。

小難しい理屈はさておき、ラクガキ本来の楽しさが詰まった作品。日本のマンガもアメコミも、より映画的な演出を取り込むことで発展してきましたが、それらとは一線を画すオルタナティブ・ポジション。演出や技巧から解き放たれることで逆に描けないシーンは無いという融通無碍の境地をみせてくれる一冊です。
蛇足ながら登場キャラクターが魅力的。名前もルックスも最高。金星人オーソンとか28部尊ジョージとか祈祷師キャンベルなど、名前だけ聞いても脳が痒くなるくらい気になるでしょう?

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[ 2008/09/17 14:15 ] マンガ紹介 | TB(0) | CM(0)

坂口安吾 『いずこへ』 

最近、学生時代に買った小説を読み返すのがマイブーム(死語)。年齢を重ねたせいか、昔読んだときとは印象が異なるのが面白い。
先日読んだのは無頼派の代表的な作家、坂口安吾の短編『いずこへ』



新潮文庫の『白痴』に収録されてます。コレ学生時代から好きな短編だったんですが、要するにダメダメな男が「自分が駄目であることの言い訳をズラズラ並べる」といった内容。これがまた見事な言い訳でして、そのヒネクレ具合が嫌いじゃない。例えば、


贅沢するためなら働くけど食うために働くのは自尊心が許さない


今日的にはいわゆる「働いたら負けかなと思ってる」って奴に限りなく近い態度。
ニート君

それでいて本人は精神的には他人より高みに立っているつもりだから始末に負えない。自らの高潔な暮らしを女の肉慾が汚していくのだ、とばかりに罵りながら拒絶はしないという流されっぷり。
仕舞いには駄目ついでに自らが卑下してきた好色でつまらない女と遊ぶことにより自らを貶めようとする何様テイストを発揮。

いいなぁ・・・。たまんないな、この駄目な空気。最高です。
今読むと学生時代に感じたダメっぷりよりもさらにダメですこの主人公(笑)
この閉塞感!つげ義春の「やなぎや主人」に通ずる、自らを異化するための限りなくネガティブな儀式。
自らのだらしなさを他人の性で贖う傲慢さ。これこそ人間!これこそ魔よ!(胸にせまるわ。)

あ、うん。それだけ。女性にはオススメしないけど、自分は特別な人間だとチラとでも頭をよぎったことのある男性には必携です。

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[ 2008/09/12 15:05 ] 旧校舎 文芸部室 | TB(0) | CM(0)

楳図かずお 『わたしは真悟』 

以前に買って一度読み、そのまま本棚の奥のほうにしまい込んであった作品を引っ張り出して再読。楳図かずおの怪作、『わたしは真悟』

『わたしは真悟』
マリン、ボクハイマモ・・・ キミヲ アイシテイマス

もう・・・なんて表現していいかわからない。この作品はいわゆる「ホラー漫画」とは異なります。しかし読後背筋に寒いものが走り抜けていく感触に身悶えしました。その感覚は恐怖・・・というより畏怖・畏敬といった表現のほうが近い。この作品は奇書に分類されるべきものです。

社会科見学に行った工場で偶然出会った小学生のさとるまりんは運命的な恋におち、工場のロボットに自分たちの情報を記憶させる。
その後両親の都合でイギリスに行くことになってしまったまりんさとると2人で大人たちの手から逃げ、結婚して子供を作りたいと願う。
2人は工場のロボットに子供の作り方を尋ね、機械が答えた奇妙な方法を実行したとき、工場のロボットに意識が芽生える・・・。


このロボットが自分で自分に「真悟」と名前を付けるわけですが・・・。
狂気といっても差し支えないほどの巨大な妄想。それは『14歳』でも顕著にあらわれていましたが『わたしは真悟』のほうがよっぽど難解です。文庫版で全7巻というなかなかのボリュームですが、淡々と綴られる奇妙な物語の静けさがかなり不気味。『14歳』は奇想天外な妄想が次々と炸裂して展開しますが、こちらはそれとは逆に「静」の趣が強く、全体にスローペースでテーマも絞られています。

しかし小学生が子供を作る・・・というモチーフからもにじみ出ていますが、作品全体にかなり楳図御大の鬱屈したリビドーがみなぎっているような。「子供」という時間に生きるものをことさらに持ち上げ、作者自身が属する大人社会、そして日本が自虐的なまでに悪し様に描かれており、なにか病的なものを感じずにはおれない。
この鬼気迫る自己否定と自由な発想はどう考えても常人には辿り着けないところのもので、真悟を通して描かれた抽象的な物事すべてを理解しようとするには自分は少々歳を取りすぎたようです。
これは「何となくゾッとする愛の物語」ってくらいの理解で充分でしょう。

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[ 2008/09/05 02:58 ] マンガ紹介 | TB(0) | CM(0)











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