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新井英樹 『SCATTER』 

怪作『ザ・ワールド・イズ・マイン』の著者、新井英樹がコミックビーム誌に連載中の『SCATTER (スキャッター)』を本屋で衝動買い。

 『SCATTER(1)
「セックスしなくても死なないけど
 セックスしたって僕らは死ぬ
 働かない僕でも 今を生きてるけど
 働いたって僕ら必ず死ぬ」
 (by 教授)

イイよね。吐き出したかったんだろうね!セリフに体重乗ってるよ!

『ザ・ワールド・イズ・マイン』にシビれてからしばらくはさすがに重くって『キーチ!』とか『シュガー』あたりをスルーしてたんですが、表紙と帯にオーラをビンビン感じて即購入。
……まだ第一巻ですが、これは裏『ザ・ワールド・イズ・マイン』になり得る作品かも、というのが最初の印象。

『ザ・ワールド・イズ・マイン』は20世紀末の虚無的な空気を巧みに描いた破壊と再生の物語だったのに対し、今作『SCATTER』のテーマはズバリ「性」
新井英樹といえば『いとしのアイリーン』を引き合いに出すまでもなくモテない男の鬱屈した衝動を描かせたら日本屈指の実力者であるが、その新井英樹が描き出す21世紀型ともいうべき最新型の絶望をベースにしたセックス神話である(またかよ)。

ジェンダーフリーなバツイチ女編集者(自称:おまんこ持ち子持ち痔持ちの編集者)「沢田和美」と、変態ニートオタク青年「久保ヒカル」の出逢いが描かれる第一巻。それと並行して描かれる宇宙から飛来した(?)謎の物体と不可思議なレイフ゜事件の頻発。このヒグマドン的な正体不明なモノのおかげで現時点で先の展開がまったく読めない。


ただこのニート青年「久保」を描写する得も言われぬリアリティは凄いの一言に尽きる。
ぶっかけ願望のある童貞という「ぬえ」のような存在を生々しく描き出す作者の才能が恐ろしい。

この「久保」青年は『BOYZ4MEN(B4M)』という非生産・反セックスを掲げる「童貞ニートチーム」を仲間四人で結成し、妹にも蔑まれながらオナニーと思考停止と現実逃避で日常をやり過ごす。

まさにネット掲示板でみかけるマジレスなのかネタなのか判別不能な「女不要論」を地で行くB4Mメンバー。掲示板の「名無しさん」が4人に集約されたような感じだが、弁当工場でブラジル女とデキたメンバーの1人は内緒でそれなりの性生活を営んでいたり、すでに反セックスという題目は自分の「女性恐怖」の裏返しにすぎないことは明らか。
B4Mの活動に邁進する奴、ブラジル女とやってる奴、やりたいけど女性恐怖が強い奴。そんなメンバーのなかで久保は「ぶっかけ」という変態性への憧れを強くし、ついにそれを実行する──


これは現実に「キモメンオタク童貞ニート」な人にとっては相当にヘヴィな内容かも。思いっきり大笑いするか、核心を突かれすぎて死にたくなるかのどちらか。
自嘲能力があれば手にとってもいいが、少なくとも煽られ耐性がない人は絶対に読むべきじゃない一冊です。
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[ 2010/04/24 14:29 ] マンガ紹介 | TB(0) | CM(0)

石塚真一 『岳』 

いまさらだが、登山ブームの風を受けていま注目の「山」マンガ、石塚真一『岳 ~みんなの山~』をピックアップ。



「よく頑張った!」

祝、映画化。しかし主人公役が小栗旬てどうよ?相方が長澤まさみってのも…なんだかなぁ。
プロデューサーは「主人公は小栗旬のほかに考えられない!」と思ったそうですが、yahoo!ニュースのコメント欄ではこのキャスティングに「小栗旬は要救(要救助者)だろ」とバッサリ。
「小栗旬のほかに考えられない」という言葉の裏には「岳」をオシャレ映画にしてアウトドアブームに繋げたいという広告業界の意思が見え隠れしてなんだかなぁって感じ。ま、たぶん観ないけど。

さて『岳』ですが、一話完結型の山にまつわる人情話。「下界でのイザコザは全部山で忘れちゃいなよ」っていうのが基本スタンスらしい。これは山に登ったことがあれば(こんなにハードなクライミングじゃなくても)何となく実感できるところです。その日のテンションによっては逆に自分がちっぽけすぎて死にたくなったりもしますけど。

主人公の島崎三歩は山に魅せられて山で暮らすほどの山バカ。元同級生の野田正人率いる山岳救助隊とともにボランティアでレスキューにあたったり登山者を見守る存在であり、スケールが大きく人なつっこい素朴な人柄で様々な登山者(遭難者)たちと触れあっていく。

ただ、もうこの三歩はメンタル的にもフィジカル的にももはや「超人」の域。読者が共感すべきは苦悩を抱えた登山者たち、あるいは職務として日常的に遭難者の生と死に直面し続ける山岳救助隊員である。

個人的には10巻での若手山岳救助隊員、阿久津の成長、「命を背負う決意」をする場面にはグッとくるものがあった。
何度も直面する凄惨な死の光景と救助隊員としてふがいない自分が揺らぐなかで突然の友人の訃報、そして恋人の妊娠が発覚する。
幾重にも生と死が取り巻く状況で「果たして自分が人の命を背負えるのか」という葛藤を抱えつつも、目の前で助けを必要とする要救助者を背中に担ぎ、「命の重さ」を背負って歩み出す──。


この話は『岳』のエピソードの中でも特に秀逸。父親として子を背負っていく責任、遭難者を救助する職務としての覚悟、その両方をまとめ上げた構成は見事。

しかしウチの父親の感想は「10巻はたいしたことなかったね」とのこと。嘘ォ!?
「え、自分が初めて父親になるときの自覚とか責任感とか、そういうのなかったの?」と尋ねたところ、「特には」と来たもんだ。

あとで母親に聞いてみたら、長男出産時に親父は病院に顔を出さず「趣味関係での飲み会」にキッチリ参加していたとのことで、いまだに根に持っているらしい。ワロタ。
[ 2010/04/11 14:13 ] マンガ紹介 | TB(0) | CM(0)











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