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市川春子作品集 I・II 「虫と歌」「25時のバカンス」 

市川春子作品との出会いは現在も連載中の『宝石の国』であったが、過去の短編を収録した作品集単行本が2冊出ていたので読んでみた。


上左) 虫と歌 [ 市川春子 ]
上右) 25時のバカンス [ 市川春子 ]


作品集1の「虫と歌」からすでに市川春子独特のスタイルは発揮されており、作品集2の「25時のバカンス」は「宝石の国」の発想の原点と思しきアイディアが散見され非常に興味深い。

この2冊を読んでハッキリしたのが市川春子の真髄が「擬人化」にあるという確信。とはいえ市川春子の場合、描写のテクニックというよりも「擬人化そのもの」がまず先にあり、そのアイディアとセンスの独自性が物語を面白く感じさせているのだと思う。


もともと擬人化されたモノは本質的に切ない。
ヒトよりも森羅万象に近いはずの生き物や無生物、自然現象、あるいは明確な使用目的をもつ道具。それらがあえて不完全な存在である人間に身をやつし、ヒトのような感情を表し消えていく悲しさ。

そこには法や権利によって守られることのないものの存在の儚さや、自然の法則から隔たれた人間の孤独を浮き彫りにしてしまう何かがある。
いまもアニミズムの影響で万物に感情移入できる日本人は特にそうした感情に敏感なところがあるかもしれない。日本のサブカルチャーがあらゆるものを擬人化せずにおれないのは、あまり意識しないだけで根底にそうした信仰が残っているのだろう。


すでに萌え文化において擬人化は欠かせない要素になっているが、市川春子のそれは単なるコスプレや属性付与に留まらない。
広い知識と深い洞察に裏打ちされた擬人化はヒトの形を与えられても本来の性質と失わず、その中間で揺れ動くさまの危うさと切なさはいずれも切れ味抜群。


擬人化したモノの健気さありきの作品というのは感情面への訴えかけが約束されているのでちょっとズルい気もするが、市川春子にしか描けない独自の世界観とアートはそれを補って余りある才能だと思う。

マンガとしての見せ方が上達し独自の作画センスがフルに開花するのは「宝石の国」だが、市川春子の原点を感じるガイドブックとしてはこの2冊もオススメ。
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[ 2015/05/04 14:39 ] マンガ紹介 | TB(0) | CM(0)











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