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本田透 『電波男』 

これは逃避か、さもなくば大いなる悟りか?現実世界の残酷さに耐えかね、深く傷ついたオタクたちが向かったのはメッカでもなければお遍路でもなかった。

久しぶりの活字モノ、本田透『電波男』を紹介。

【Book】 本田透 / 電波男: 講談社文庫
「もはや現実の女に用はない。
真実の愛を求め、俺たちは二次元に旅立った。」
(オビより)


「キモメン」+「オタク」+「ニート」+「童貞」

他者に愛されること能わず、他者を愛することすら拒絶される身分階級が現代日本に存在する。
筆者はそんな男であり、同時にこの本が購買対象と見込む読者層こそがそれである。そんな本をウッカリ手に入れてしまった バスチアン 伊藤(仮)です♪

・・・い、いやジブンは全くモテないとか、そういうことはないと思うんだけど・・・。アレです、本なんてベヘリットみたいなモンで「あるべき時にあるべき人の手にある」、そんなもんです。


さてこの本の画期的なところは・・・「オタクの勝利宣言」から始まることなんだよッ!

なんだって


はじめに断っておきますが、この本で展開される理論はかなり偏っています。・・・だがそれがいい!
田母神論文を引き合いに出すまでもなく、人間はどんなときでも「自分」ないし「自分の所属するもの」を肯定せねば生きていくことが出来ません。
果たして「キモメン」+「オタク」+「ニート」+「童貞」という属性を背負った男が自らを肯定するために必要な装置と論理は?

それがITによって飛躍的に進化を遂げた二次元恋愛、すなわち「萌え」であり、資本主義と結びつきメディアによって肥大化させられた現実世界(恋愛≒セックス)を否定することだったんだよ!

なんだって


あんまり書くとネタバレになるから内容は伏せますが、オタクの精神構造を理解する上で非常にわかりやすいテキストです、間違いなく。これは「現実」と「二次元」というそれぞれの神を冠した種族同士の、言わば宗教対立に近い認識の相違。二次元にしか存在し得ない、極端なまでに無垢な「真実の愛」しか欲しないオタクを純粋ととるか現実から逃避した社会不適合者ととるかは読者次第。

恋愛資本主義社会において「キモメン」という属性は愛を得るためには圧倒的な不利をもたらします。女性に声をかけて通報されたり嘲笑されたりを繰り返せば誰だって二次元キャラに走らずにいられないと思いますが、自宅で美少女ゲームにハァハァしててもそれ自体は誰に迷惑をかけるでもない恋愛の代償行為です。

しかし『負け犬の遠吠え』『だめんず・うぉーかー』で年齢的に恋愛市場で商品価値を失いつつある所謂売れ残りの女性が「自分にアタックしない情けない男が全部悪い!」というありきたりの結論を述べたあとに決まって「それでもオタクだけは絶対イヤだよね~!」という恋愛弱者たるオタクへの蔑みと嘲りを記す・・・らしい。

作者は「自分たちを傷つけ恋愛市場から閉め出しておきながら、何故今さら何も迷惑をかけていないオタクをそこまで貶めるのか!?」と憤ります。
メディアの作り上げた「消費活動を促進させるための恋愛至上幻想」に踊らされ、男の内面を見ずにちょっと顔の造作のイイDQN男と打算的なセックスを繰り返し、売れ残ってもまだ理想ばかり高い女などこっちからも願い下げだ!
・・・とばかりに脳内嫁をゲットした作者は「現実恋愛のサボタージュ」を宣言
簡単そうに見えてなかなかできないことです。


本文を読めば恋愛とキリスト教の関係をはじめ、日本の恋愛がこういう状況に至った歴史的背景やら文化的背景やらをわかりやすく紹介してくれるので特にオタクでなくても解りやすい内容になっていますが、自説に語り出すと途端にメチャクチャ偏ります(笑)
オタクとDQNと負け犬(とその予備軍)が日本を構成する人口の全て。どちらでもない一般的な人の一般的恋愛観などは気持ちイイくらいスッポリ抜けてる(笑)
でもまあ、オタクが21世紀を生き抜くための『五輪の書』みたいなもんだから、いいか。

オタクの完全勝利によって「萌え≒真実の愛」が浸透すると性犯罪が減る!戦争がなくなる!などのデッカイ風呂敷が狂気じみてて最高。また一大ブームとなった『電車男』、ネットで知られる真の顛末については興味深かった。
あと本文中にはニーチェから井上陽水までオタク的な引用がノンジャンルで散りばめられており、わかる人はその都度吹き出すこと必至。解説つきなので馴染みのないジャンルの引用でも笑えるのがいい。一読の価値は大いにありと見た。

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[ 2008/11/30 03:57 ] 旧校舎 文芸部室 | TB(0) | CM(0)

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