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齋藤智裕(水嶋ヒロ) 『KAGEROU』 

ゴールデンノイズから借りた『KAGEROU』を読了。タイムリーな現代小説を読んだのは綿矢りさ&金原ひとみ以来か。

まあ…すでにさんざん言われているが、なるべく意識しないようにと思っても色眼鏡で見てしまうのは避けられない作品。読み手としては齋藤智裕という無名の新人作家のデビューに際して読者に余計なフィルターをかけた責任はポプラ社にあると思う。しかし「出来レース事件」という話題作りあってこそのベストセラーであることも否定できない。

 『KAGEROU
「  」(※該当作無し)

マンガレビューのときは心に残ったセリフとか面白いセリフをピックアップするんだけど、残念ながらこれといって特に心に留まる文章はナシ。

ストーリーはまあ平たく言えば、ある自殺志願者をめぐる臓器移植ファンタジーライトノベルでした。
複数のゴーストライターによって手直しされたという報道もあったが、とりあえず物語に大きな破綻はなく無難にまとまっているという印象で、作者が読みやすさを重視したであろう努力のあとが窺える。その甲斐あってか対象年齢は見事狙い通り小・中学生~ゆとり高校生に絞られている。

あれこれ細かいことを指摘するのも野暮なので一言で言うと、全体的にディティールが薄いので「ハリボテ」感がある。もうちょっと背景に肉付けしたほうが深みが出たと思うが、これは好みの問題かもしれない。『ファイブスター物語』とか『安部公房』レベルでディティールに凝れとはいわんが、個人的には創作の楽しみってそういう部分だと思うので勿体なく思う。


一方で帰国子女として海外で培われた感性なのか、不思議な比喩表現もいくつか見受けられた。

kagerou

でもまあ使い古された表現を疑問も持たずに使う作家よりはいい。いっそ英語と日本語の言葉遊びをミックスするなど、生粋の日本語脳では書けないような実験小説まがいの怪作を書いてほしい。

ともあれ齋藤智裕(水嶋ヒロ)の作家としての評価は次回作次第である。

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せっかくなので旧校舎らしくマンガと絡める。

作中でも赤塚不二夫の『バカボン』や手塚治虫の『ブラック・ジャック』がチラと出てきたが、元ネタ…というかコレが『KAGEROU』を書くきっかけになったんじゃないかと思った。


BLACKJACK23 『ブラック・ジャック(23)

秋田書店 少年チャンピオンコミックス版『ブラック・ジャック』23巻に収録されているエピソード、「過ぎさりし一瞬 」。基本的に一話完結型のブラック・ジャックで、単行本の半分以上を占めるページ数の中編になっている話はたぶんコレだけ。

『ブラック・ジャック』では馬と人間の脳を入れ替える話やシャム双生児の脳を分割するなど、脳関係ではけっこうアブナイ話も数多く存在しているが、「過ぎ去りし一瞬」では医師免許を持った神父が銃撃で脳組織が破壊された幼児に、死んだ人間の脳組織をスプーンですくって移植するというオカルトと医学の境界線上ド真ん中で神の存在を問う怪作。

ここでの脳移植ではドナーの記憶が移植者に流れ込むという展開に。移植を受けた少年はドナーとなった女性の記憶の断片と裁縫技術などを備え、遠い外国エルサルバドルで起きた虐殺事件の記憶に苦しむ。
人の生命と心はどこにあるのかを考えさせるエピソードである。

「バカボンのパパ」という必要性の低いマンガネタを会話にネジ込んだのは『ブラック・ジャック』だけが目立ってしまうのを避けるためにゴーストライターが小細工したんじゃないかと意地悪な伊藤(仮)は思いましたとさ。

[ 2011/01/09 16:08 ] 旧校舎 文芸部室 | TB(0) | CM(0)

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