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新井英樹 『SCATTER』 第2巻 

西村賢太の芥川賞受賞作品『苦役列車』をゆっくりと読み進めつつあるさなか、タイミングよく注文してあったマンガが届いた。
新井英樹『SCATTER』2巻であるが、かくして伊藤(仮)は生臭い文章と生臭いマンガに心地よく耽溺する。

 『SCATTER(2)
「全部私のメンツのために
 君を生贄にすることを私に貸しといてくれ」
(作中より)

作品のテーマはずばり「生殖」。ただしセックスから恋を濾過し愛を蒸留して精製した「男の純粋性欲」にがぶり寄った視点ゆえに『苦役列車』と同様、読む者の性質によっては男女問わず多大な不快感を覚えるであろう内容。

恋愛にまつわるあらゆる方便を排除した「リアルな性」が登場人物それぞれのなかに潜んでいる。主人公(?)「久保」にとっての性は発射そのものであり、挿入を必要としない。「ぶっかけ」こそが彼の本懐なのである。

1巻に引き続いて「B4M」メンバーの痛々しい成り行きを追いつつ、マンガ編集現場パートでは青姦盗み撮りに失敗した沢田に対して羽鳥は「若い男のアシスタント」を所望する。
沢田に頭を下げられて女だらけのマンガ製作現場に「生贄」として差し出されることになったファビアナ拓(久保)は「カウパー祭り」と称して拘束され、挿入を許されない性奴隷として慰み物に。


思いっきり好き嫌いは分かれると思うが、2巻になって俄然面白くなってきたので我こそはという挑戦者には是非手にとってもらいたい作品。取っつきにくいのを少しでも緩和すべく、せっかくだから軽く人物紹介。

SCATTER久保 
【久保】
たぶん主人公。非セックス主義を標榜する童貞グループ「BOYZ 4 MEN(B4M)」メンバー。ペンネーム「ファビアナ拓」を名乗りコミック編集者「沢田」に接近する。「ぶっかけ」フェチで、手を使わず妄想だけで射精する特技を持っている。童貞。

SCATTER拓 
【拓】
「B4M」リーダー。童貞を完全にこじらせ、「B4M」でただひとり本気で非セックスという思想にのめり込む。他のメンバーからは裏でバカにされつつも、その狂気じみた思想と行動である種のリスペクト(?)を集める。

SCATTER牧野 
【牧野】
ニート揃いの「B4M」メンバーで唯一の労働者にして非童貞。工場で出会った出稼ぎのブラジル女と付き合っている。オタク方面にも人脈があり、またコミュニケーション能力もメンバーの中では高い。「B4M」としての活動は遊びだと割り切っている。

SCATTERベビ 
【ベビ】
「B4M」メンバー。牧野に女が出来たことを知って以来「やりたい欲求」が限界まで高まり煩悶する。女性恐怖症気味ながら「運命的な出会いと理想的なセックス」に憧れる真性童貞。人間をやれる者とやれない者に区別し、自分は後者であるという深い悲しみと諦観を抱える。

SCATTER沢田 
【沢田】
月刊「コミックビーン」誌の有能熱血編集者。仕事に「おんな」を持ち込むことをよしとせず、関わる人間の甘えには容赦ない罵声を浴びせる男勝りで強靱なシングルマザー。しかしプライベートでは弱さを垣間見せる瞬間も。持ち込みに来た久保の担当編集となる。

SCATTER羽鳥 
【羽鳥】
沢田が担当する売れっ子マンガ家。沢田とはしばしば意見が対立する。作品研究のため夜の公園で素人の青姦を盗み撮りするよう沢田に命じ、それが久保と沢田が出会うきっかけとなる。作画スタッフとして肝の据わった巨乳アシとウブで淫乱なドジッ娘アシを抱えている。

SCATTER遊佐 
【遊佐】
世間を賑わす謎のレイフ゜魔グループの実行犯。仲間の女に「自分とターゲットとの妄想設定」を語らせて物語を構築し、寝ている女に膣内射精してまわる。

SCATTER教授 
【教授】
あらゆる疑問に百円で答える謎のホームレス。見た目とは裏腹に的確な分析と判断で知性を感じさせる人物である。地球の滅亡を予言するなかで「B4M」の非生産的活動に新たな価値を見出し賛美する。



第1話はオカルトめいた謎の中出しレイフ゜、第2話はバリバリ仕事をこなすシングルマザー編集者の野外青姦盗み撮り。第3話はノーフューチャーな童貞グループの暗い青春とオナニー。

「新井英樹」という看板に信を置く読者なればこそ伏線回収に期待して読み続けるが、初見の読者はこの序盤でギブアップだろう。「マンガの編集現場」と「B4M」は生々しい現実を突きつけるが、それに対して「レイフ゜魔」エピソードは最初に宇宙との繋がりを示唆する描写があったり仲間同士のコミュニケーションを犬が中継して通訳したりと非現実的で謎めいた部分が多い。

『ザ・ワールド・イズ・マイン』における超越的存在「ヒグマドン」のように、目的のわからない存在がリアルな日常に滑り込んでくるという奇妙な不安感を覚える。2巻でレイフ゜魔グループが偶然「久保」と接触するが、このニアミスがどのように本筋に絡んでいくか今後も目が離せない。
[ 2011/02/24 01:49 ] マンガ紹介 | TB(0) | CM(0)

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