スポンサーサイト 

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
[ --/--/-- --:-- ] スポンサー広告 | トラックバック(-) | コメント(-)

石川雅之 『もやしもん(12)』 

11巻のミスコン編はイロイロと思うところがあったが、何だかんだで買ってしまうのが『もやしもん』。
前巻からの新キャラ「西野円(にしのまどか)」は女子高生というステータスを除けば本来ミスコン編に不要なポジションと思われたが、12巻のシリアスパートでメインキャラを張るためには必要な助走だったようだ。

 『もやしもん(12) [ 石川雅之 ]
「じゃあ淘汰される側は… どうすればいいの…?」

ほとんどの読者が前巻の「日本酒嫌い」発言から酒造関係者かとおおよそ見当がついていたと思うが、西野円は日本酒を語るうえで結城蛍とは対になる存在。

もやしもん西野円&沢木
対になる存在。(※沢木的な意味で)


以前に農協関係の黒い実態についてヒソヒソやったことがあったが、今回は日本酒業界の裏話。
加工食品や添加物の話は樹教授が語る「選択の幅」として消費者にも選択のための知識を要求するものだったが、産地偽装はモンスター消費者と生産者の関係と同じく需要と供給の信頼に関わる問題だ。

ジョン=カーペンター監督は「知らないほうが皆が幸せでいられる真実」というブラックユーモアを映画『ゼイリブ』で描いたが、日本酒業界が「消費者は知る必要のないこと」と思っている部分が『もやしもん』を通してスゴイ勢いで拡散・共有されてしまった。

日本酒好きな作者だからこその苦言であろうが、これに対して日本酒業界や総務省・消費者庁がどう対応するか注目したい。
…と、思いっきりレビューから脱線した。

考えてみれば西野円は初めて登場した主人公よりも年下のキャラ。
彼女の主張を触媒としてレギュラーメンバー陣は改めて自らを見つめ直す機会に直面するが、こういうときにさりげなく良い仕事をするのが「もやしもん」のサブキャラなのだなあ。

これまで主にギャグ方面の舞台装置だった自治寮レジスタンスが初めて能動的にテーマに絡む言葉を投げかける。個別の事情に関係なく通用する「一般論の強み」をポンと持ち出せるのは親密すぎないサブキャラならでは。



前から思っていたがこの作者、ストーリーの組み立て方がちょっと変わってるな。

必然的に説明が多くなる作品なのでときどきストーリーパートとの繋ぎが唐突で「ん?」となることが少なくないが、最後はマンガ的なセオリーを敢えて踏み外すことで「現実の人間っぽい行動」に見えてくる。


今巻は「日本酒の話」と「未成年の主張」を重ね合わせつつキーパーソンである西野円の主張下手を活用して話を転がしており、その傾向が顕著に感じられた。

小説でもマンガでも「このキャラはこういうキャラ!」と読者に提示してセオリーどおりに動かすのが当たり前になっているので、「ディフォルメの利いた絵に対して読者が無意識に期待している行動」とのギャップが生じることで逆に妙なリアリティを感じる。

福島聡の『機動旅団八福神』でも似たようなキャラクターの生身感があった。このリアリティ手法が進展していけばさぞかし無駄にコマを喰うだろうが、マンガ表現の新境地が開けるような気がしないでもない。
[ 2013/04/21 16:55 ] マンガ紹介 | TB(0) | CM(0)

コメントの投稿














管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

この記事のトラックバックURL
http://oldskool.blog38.fc2.com/tb.php/292-eeece2b8













上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。