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アレハンドロ・ホドロフスキー 『サンタ・サングレ/聖なる血』 

鬼才・アレハンドロ・ホドロフスキーの怪作『サンタ・サングレ/聖なる血』を観た。
「鬼才」と呼ばれる映画監督の作品はイロモノばかりと思われがちだが、本作はさにあらず。

かくいう自分も『エル・トポ』や『ホーリー・マウンテン』のイロモノ感でホドロフスキーを知った人間だが、この『サンタ・サングレ/聖なる血』はそのへんの映画よりも脚本や演出がしっかりしていて逆に驚かされた。


 『サンタ・サングレ/聖なる血 (楽天ブックス)』

主人公はサーカス団長の父とカルト宗教信者の母の間に生まれ育った少年フェニックス。浮気症の父と嫉妬深い母の性と愛憎をトラウマとして心を病み成長したフェニックスは女性に歪んだ妄想を抱くようになり殺人を繰り返す・・・

父親から倒錯した性衝動を学び、母親からは支配という呪(シュ)を植え付けられて苦しむ男の話。ちょっと萩尾望都っぽい?


サーカスや大道芸といったモチーフを盛り込んだストーリーということもあって、フリークス(いわゆる小人)やダウン症(?)の脇役が登場したりするのでパッと見でイロモノ臭さがあるのは否定しない。ちなみにヒロインも聾唖。

しかし彼らは決してモンド映画のような見世物扱いで登場するわけではない。主人公は身体的には健常でも気が違っているし、むしろ障害者との区別がない世界だ。1989年の作品でストリートのポン引きが障害者にヤクを勧めたり女を買わせたりするシーンは乙武洋匡が主張するところの対等な描写として画期的かもしれない。


『ホーリー・マウンテン』は幻想的な映像のイマジネーションに圧倒されてオチにぶっ飛ぶ作品だったが、本作はよくできた舞台演劇を観ているような没入感があった。実際、かなり演劇的な手法を意識して撮影したものと思う。

個人的にはミュージカルや演劇的な演技で展開する映画は我に返る間が与えられるのであまり得意ではないのだが、脚本と演出が巧みなうえに役者の演技も引き込まれるような技量を感じさせて退屈させない。

特にストーリー上で大きなウエイトを占めるパフォーマンスがパントマイム。これが撮影のために役者に仕込んだ付け焼き刃ではなく、主人公が正式にパントマイムを学び習得している技術なので芸の説得力が半端じゃない。

派手な内容の作品ではないが、映画の芸術性を信じることができる作品だ。

ちなみにDVD特典のにはトレーラー映像のほかにホドロフスキーへのインタビューと削除シーンのコメンタリーが収録されている。シーンを削除した理由は単に上映の回転を良くするための尺の都合だったり冗長で重さが出るシーンの省略だというのだが、作品を深く理解する上で極めて重要なシーンが含まれている。

特に両親がフェニックスに与えたものや強要したものの描写、あるいは舞台であるメキシコの原風景、教会が売春を仕切り搾取していた歴史解説など興味深いコメンタリーが満載で、さりげないシーンにも監督の意図と意味が示されていたことがわかる。

インタビューでは黒澤映画へのリスペクトやジョン・レノンとのエピソードなどがホドロフスキー本人の口から語られて、これまた興味深い。ルーツについてや幼少時の興味・関心、イマジネーションについて楽しそうに語る内容は衝撃的でもある。
特に「脳は巨大なんだから複数の人格を持って支配しろ」といった常識に囚われない発想や、商業主義のハリウッド(アメリカ)をバッサリ批判するのも痛快だ。

これから観る人は是非コメンタリーとインタビューも忘れずチェックしてもらいたい。
[ 2015/07/02 01:44 ] 映画・アニメ感想 | TB(0) | CM(0)

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