ブブキ・ブランキ12話(最終回) 感想 

さて先日「わかりにくいストーリー」として引き合いに出したブブキ・ブランキの最終回。結論から言えば予想に反して面白い&熱いラストだった。そしてようやく妹が顔を出して2クール目へ続く、という期待を煽る流れ。

まだ他国チームの思惑やら因縁など語られていないことは多いが、ひとまず炎帝チームと王舞チームの過去はおおよそ把握した。2クール目では妹視点での回想や外国チームの話が描かれるのだろうか?いずれにせよ2クール目も観ようと思えた。

とはいえやっぱり最終話まで視聴者をモヤモヤさせ続けた情報の出し方は改善の余地あり。ふろふき大根に例えれば出汁をとらない大根の水煮を完食した後から昆布と味噌を出された気分。摂取した栄養は同じであっても料理としては失敗だ。
裏を返せば視聴者に提示すべき情報さえ序盤でキッチリ押さえておけば脱落者は相当減らせたように思う。それだけの素材の良さはあった。


実は最終回に先立って、とあるサイトで平澤直プロデューサーのインタビューが掲載されていたのを読んだ。近年の「わかりやすいアニメ」を歯応えがない肉に例えて行き過ぎたユーザーフレンドリーを疑問視したり、エンターテイメントの熱狂を高校野球に例えたりとなかなか面白い。

「新世紀エヴァンゲリオン」はあれだけわかりにくい(説明の少ない)アニメでありながら強烈な作品の力で視聴者を引きつけた、とも。このあたりを読んでエヴァの大成功を尻目にアニメ業界の人間が当時どれだけ庵野秀明に複雑な感情を抱いたかが窺える。

確かにTV版のエヴァは意味深な伏線を投げっ放しにした無責任な失敗作とも言えるし、正体不明の閉塞感や不安感が漂っていた20世紀末という時代との同期が最大限の後押しをした幸運も無視できない。
それでも碇シンジの性格に同調できるかはさておき「シンジという少年」と「シンジを取り巻く状況」の説明は第一話でちゃんと済ませたので、その後のシンジの行動は一貫しているように映る。それはエヴァの難解さがキャラクターの行動原理ではなく複雑な設定によるミスリードのほうにあるからだろう。

序盤で視聴者に提示する情報の取捨選択によって作品の運命は大きく変わる。いきなり「父親との確執」や「NERVという特殊組織」「正体不明の敵」「謎の巨大人型兵器」などを怒涛のように投入して視聴者の興味を引き、「人類の存亡」「負傷した綾波」という状況を突き付け「承認欲求」を刺激してシンジを戦闘に追い込む。その一連の流れに不自然さは感じさせない。
この時点で事実上シンジに他の選択肢はないが、ネガティブな少年が退路を断たれて投げやりで自棄っぱちな行動に出る心理は大いに理解できる・・・というよりもわかりやすい。


ブブキ・ブランキは初手を間違えてしまった。致命的だったのは東の「何も知らない」という設定に無理が感じられたこと。「宝島育ち」&「空白の10年間の海外生活」&「帰国理由が不明(説明あったっけ?)」など怪しい点がありすぎて、いくら制作側がニンジャスレイヤー風に『アズマは何も知らない、いいね』と念押ししても不自然さが拭えず、とても鵜呑みにはできない。

「わかりやすさ」へのカウンターを狙った気概とチャレンジは買うが、設定の甘さ(視聴者への伝達失敗)を棚に上げて「そこはわかれ」というのは辻褄が合わない。
貴種流離譚として描くなら第一話で中途半端に宝島編を描かず、思い切って家族と生き別れるくらい「本当に何も知らない存在」として設定したほうが嫌味もないし感情移入もできた。実際宝島に戻ってからも大して汀と絡まないし、ストーリー中に故郷云々の感情を差し挟むまでもなかったような。

そして汀が礼央子をはじめとする主要人物にちゃんと言葉で気持ちを伝えていさえすれば、万事円満とまではいかずともここまで拗れることはなかったと結論付けるしかない最終回。コミュ障ならそのように描くべきだし、そうでないなら納得できる理由が欲しいところ。


エヴァとの違いはツッコミどころが画面の外にあるか中にあるか、だと思う。それに尽きる。外なら何とでも誤魔化せるし後付けで修正もきく。ブブキは画面の外側での設定は充実してそうだけど、画面中の造りが抜けてるというか、粗いんだよな。そこが惜しかった。2クール目でどこまで挽回できるか期待したい。

[ 2016/04/28 11:26 ] 映画・アニメ感想 | TB(0) | CM(0)

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