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望月峯太郎 『ドラゴンヘッド』 

以前、『ザ・ワールド・イズ・マイン』を紹介したときにYouTubeの「BSマンガ夜話」で取り上げられた回をチェックしたのですが、その場で引き合いに出されてコキ下ろされた作品がこれ。望月峯太郎の怪作『ドラゴンヘッド』


 ←全10巻
「人間は頭の中に恐ろしい力を持っている‥‥‥
それは この世の中の恐ろしさよりもっと恐ろしい‥‥
‥‥‥そういう人間の頭こそが本当に怖いのだ」
(作中より)

まず当然のことながら「マンガ夜話」の評価は鵜呑みにできません。一部の優れた分析・評論以外は文化人を気取った世迷言と考えてもらって結構。なぜならすでに評価されている作品を褒めるのは誰にだってできるからだ!
‥‥などとジョージ・クリーナーばりにセリフに体重乗せてお送りする、そんな伊藤(仮)の不定期マンガ紹介コーナーであります。シャイッ!!シャイッ!! +[Sel]=挑発伝説

『ドラゴンヘッド』は主人公テル役に妻夫木聡、ヒロインのアコ役に神田正輝を起用して映画化もされたので名前くらいはご存知のことと思います(シャイッ!!シャイッ!!)
映画版は観てないので憶測になりますが、主人公テル役の妻夫木が「絶対生き残ってやる!」とかそんなセリフをTVCMで言っていた時点で萎えました。キャッチコピーは、

ふたり、という希望。
絶望、という未来。


‥‥何かちょっとカン違いしているような気がしてならない。しかし一般向けの娯楽映画である以上、原作をベースにして何か適当にドラマを盛り込まにゃあならない理屈もわかります。
というのも、この作品は他のマンガとは明らかに違うベクトルに向かって進んでいったものだと思うからです。

★ あ ら す じ ★

主人公たちは修学旅行の帰路のさなか新幹線にてトンネルを通過中、突如日本を襲った原因不明の破滅的災害(?)によって生き埋めの危機と恐怖を体験する。
教師や級友もそのほとんどが瞬時に死亡したものの、わずかに生き残った3人で救出を待ち、トンネルからの脱出を試みる。しかし待っていたのは「何か」によってさながら地獄絵図と化した地上世界。
主人公たちは故郷である東京を目指す旅に出るも、トンネルの暗闇で感じた闇に潜む得体の知れない存在を心から拭い去ることは出来なかった‥‥。
一変した地上で主人公を迎えるのは恐怖によって心の奥底から引き出され表れ出でた人間の本性。暴力性、集団狂気、そしてオカルト。
人為的に恐怖を感じる器官を取り除いた「傷頭」の存在、そして謎に包まれた異変の正体は‥‥?

●    ●    ●

‥‥とまあこんな具合のハルマゲドン系のストーリー。1994~2000年の間に連載された作品ですが、当時は「世界の終わり」が非常にオシャレ(?)でした。レディオヘッド以降ってやつでしょうか?『新世紀エヴァンゲリオン』がその極めつけ。

この世界の終末を舞台にしたストーリーはノストラダムスが全人類をガッカリさせた後もそれを望むヒトの心に巣食い、今日まで脈々と受け継がれています。しかし『ドラゴンヘッド』はいわゆるセカイ系と呼ばれるジャンル(『新世紀エヴァンゲリオン』・『最終兵器彼女』など・・・※定義は諸説あり)とは一線を画しており、テルとアコの男女としての関係はほとんど描かれず、一貫して人間の恐怖の根源がテーマになっています。

この作品、連載開始当初はスゴイ反響がありましたが、トンネルを脱出して地上に出ると一旦「閉鎖空間」という熱が冷めてしまった、というのが連載時のリアルタイムでの素直な実感でした。
タイトルに関わる「傷頭(ドラゴンヘッド)」の登場や異変の正体に関する伏線らしき情報が出ると気にはなりましたが、どれも漠然とした捉えどころのないおぼろげな表現が多かったため、興味が持続しなかったのも確かです。実際に自分も1~3巻まで単行本を買ったところで読まなくなり、完結後に全巻買いました。

しかし改めて読みなおすとわかるのが、作者にとって「異変の正体」は何でも良かったということです。もちろん読者からすれば謎が明らかになること(欠如の回復)が即ち「物語の面白さ」なので謎が謎のまま進行するストーリーには辛いものがあります。
見方を変えると、このマンガは「話が進むにつれて娯楽作品ではないことがわかる仕組み」になっているのです。

恐怖とは何か、恐怖を感じる器官を切除するとどうなるか、生きるとは?死ぬとは?
‥‥そして究極の恐怖とは何か‥‥
ただその一点を描くために崩壊する世界があり、死にゆく人々があり、恐怖するテルとアコが存在します。すべての結論は読むとわかるはずです。読後に何を思うかは読む人によって真っ二つに割れると思いますが、どちらの結論にも私は価値があると思っています。


ただ作品の性質上、物語が難解なうえ完結にカタルシスを持たせるのが非常に困難な構造だとは思いますが、ちょっと最後のほうで説明的になりすぎた感じがあります。もっと『ヒミズ』くらい思い切ってカットアウトで完結させたほうがよかったかな~とは思いますが、さすがにそれは読者も納得しませんしね。

しかし日本のマンガは娯楽作品だけではなく、これほどヒトの精神を(恐怖に絞って)掘り下げた作品も成立するという前例として、ひとつの礎となった作品だと思います。



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[ 2008/01/22 05:12 ] マンガ紹介 | TB(0) | CM(1)

コメントありがとうございます、だがその前に

礼儀ってやつを教えてやるぜ、ラッキーボーイ。
[ 2008/01/23 16:18 ] [ 編集 ]

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