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佐藤まさあき 『堕靡泥の星①』 

本当のことをいいます。人間のもっとも手軽にして身近な娯楽は「差別」です。佐藤まさあき『堕靡泥(ダビデ)の星』を手に取ることが、あるいは情報の海で空気を読むことに今まさに必死な人々の脆弱な魂を救済する手段になり得るかもしれません。

 堕靡泥の星(1)
「礼儀とその人間性にはまったく関係がないんだぜ・・・
 言葉と心の中で考えていることが
 まったく別のことだってあらあ・・・・・・」
(by神納達也)

1972年、手塚治虫を脅かすほどの人気を誇った劇画家・佐藤まさあきの代表作がこの『堕靡泥(ダビデ)の星』である。

主人公神納達也は大学教授夫人とそれを襲ったレイプ魔との間に出来た子として生を受け、のちに成長した達也は長年自分を虐げてきた養父を殺し、多額の財産を受け継ぎ己の欲望を満たすために犯罪を繰り返す。

・・・以上の設定を完了した時点で佐藤まさあきの勝ち。宇宙人の押しかけ女房に住み着かれようが温泉付きの女子寮に住まわされようが同じこと。欲望発散系のマンガにおいて設定なんて飾りです。

この主人公の破綻した性格が遺伝や虐待の結果によるものか、などと分析するのは野暮というものです。つまりは痛快なまでの「悪」そのものに酔いしれる、それが目的のマンガ。

『ザ・ワールド・イズ・マイン』は日常生活の中にわざとオープンな状態で「悪」を配置することにより逆に社会の矛盾を浮かび上がらせましたが、『堕靡泥(ダビデ)の星』はあくまで一個人「神納達也」の欲望追求そのものだけがテーマなのだからわかりやすい。


さて、冒頭でふれた「差別」の娯楽性についてですが、要するに誰かを見下すというのはもっとも自分のエネルギーを浪費しない部類の愉悦だと思うわけです。ネット上での罵りあいなどいい例ではないでしょうか?
相手を不当に貶めることによって自分が浮かばれたような気になる・・・という仕組みです。

優等生が不良をバカにし、不良は優等生をバカにし、オタクはネットでDQNをバカにし、でもオタクはマスコミに叩かれたり、という。まあ言ってみれば自然の摂理です。悪意にも自然のサイクルがあるって事で夜露死苦。

酒も女もドラッグも用いずに「自分の身ひとつで快楽を引きずり出す手段」などいくつもないと思いますが、「神納達也」尋常ならざる徹底した他者への卑下と侮蔑には思わずハッとさせらること多数。

主人公の生い立ちを追う第1章「悪霊誕生」に引き続き、第2章「歌姫受難」では満を持して動き出した「神納達也」の最初の餌食となるアイドル歌手の話。あまりにも完璧な独白なのでここにその一部を掲載したい。

見せかけだけの平和・・・まやかしの文化・・・
そして従順で反抗の意志すらもたない
大量の羊を作るための集団催眠装置のテレビ文化・・・
そして・・・虚像の上に乗っかり・・・
それをおのれの価値だとうぬぼれるさまのあの誇らしげな顔・・・
お前こそ俺がダビデの星を第一番に与えるに足るメス豚だ

誰よりも美しく誰よりも価値があり・・・
誰よりも恵まれた生活を享受できると思いこんでいるきさまを・・・
泥の中にたたき込み・・・汚辱と絶望の淵におとしいれ・・・

やがては自分がブタ以下の動物に過ぎなかったことを思いしらせてやる!!
dabidenohosi ※言い過ぎです。

この被害妄想と見紛うほどの自己中心的なスタンス!それでいて一切の後ろめたさが感じられない前傾姿勢!これこそが現代を生きる我々に求められるタフネスであり、いわゆる『AKY』と呼ばれる「敢えて空気読まない」という確信犯的なテクニックではないだろうか。

まだまだ語り足りない部分はありますが、長くなったので以下は次巻以降のレビューにて。


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[ 2008/03/24 17:58 ] マンガ紹介 | TB(0) | CM(3)

No title

『AKY』…イイネ!
激流を遡上してゆく鮭にも似た勇敢な行為です。
[ 2008/03/25 14:46 ] [ 編集 ]

よっこらセックス

サンクス。
遠慮や気遣いは美徳じゃないって知ったよ。
[ 2008/03/25 17:16 ] [ 編集 ]

ブタはお前だ
[ 2012/07/19 01:05 ] [ 編集 ]

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